(B) 私はひろ子を好きだ。 I love Hiroko.
意見が分かれるところですが、私は(A)の方がより自然な言い方だと思います。しかし、(A)は英語話者にとって変な文です。英語訳で “love” の目的語となっている「ひろ子」に主語を表す格助詞「が」が付いているのですから。このような文は他にもたくさんあります。
私はひろ子が心配だ。 I am anxious about Hiroko.
私はひろしがきらいだ。 I don’t like Hiroshi.
私はさやかがうらやましい。 I am envious of Sayaka.
私はひろ子が気に入った。 I found favor with Hiroko.
私はひろしが気になる。 I am anxious about Hiroshi.
「好きだ」、「心配だ」、「きらいだ」、「うらやましい」、「気に入った」、「気になる」、「じゃまだ」、「いとおしい」、「なつかしい」、「にくらしい」など、話者の主観を述べる述語が使われるとき、その主観をもたらす原因となる「人」や「もの」に対しては、主語を表す格助詞「が」をつけます。この「AはBがC」という文において、Aは主観の持ち主です。そして、「AさんにとってBはCという性質を持つ」ということが伝えられます。述語であるCとしては、形容詞(イ形容詞)、形容動詞(ナ形容詞)、動詞のいずれも使われます。
「好きだ」という述語は、話し手である「私」の中で「ひろ子」がどういう性質を持つかを表していると拡大解釈してみます。すると、「人を引きつけ好ましく思わせる性質を持っている」ことを「好きだ」が言い表していることになります。「好きだ」という述語に対する主語が「ひろ子」だという意識、これが、格助詞「が」が使われる理由ではないかと考えられます。
英語話者が日本語を学ぶ際に「主語には『が』を付ける」と覚えるのは間違いではありません。しかし、何が主語かを考えるときに英語訳を参照すると間違う場合があるので注意が必要です。
私はひろ子がなつかしい。 I feel a longing for Hiroko.
「なつかしい」という形容詞は、「ひろ子」が「なつかしがらせる性質を持っている」ということを表すと考えることができます。
English Version
http://meadowlake001.blogspot.jp/2014/09/i-love-hiroko.html
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