(A) なぜあなたは学校にいきますか? (誤) Why are you going to school?
(B) なぜあなたは学校にいくのですか? (正)
(C) なぜそんなに美しいですか? (誤) Why are you so beautiful?
(D) なぜそんなに美しいのですか? (正)
(E) なぜひろしが好きですか? (誤) Why do you love Hiroshi?
(F) なぜひろしが好きなのですか? (正)
(A)、(C)、(E) は自然な日本語ではありません。 (B)、(D)、(F) ならOKです。
「なぜ」という疑問詞を使った場合、「のですか」で終わるのが普通です。「のですか」という聞き方は、聞き手が何らかの前提を意識していることを示します。あるいは、質問文全体が質問者の仮説である場合も「のですか」を使います。つまり、聞き手は「あなた」が実際に学校に行っている、あるいは本当に美しい、あるいはひろしのことが好き、ということを前提(仮説)として、「なぜ」と尋ねているわけです。このような「なぜ」に対して、単なる「ですか」ではうまく呼応しません。
(文法的な説明)
「あなたはひろしが好きなのですか」という文は以下のように分解できます。英語の構文との比較も一緒に書いておきます。
<(1)あなたはひろしが好きだ> <(2)の> <(3)ですか>
<(3) Is it true> (2) <that> <(1) you love Hiroshi?>
助詞「の」は英語のthatと機能が似ています。「の」は「あなたはひろしが好きだ」という文全体を包み込んで名詞句を形成し、これを助動詞「ですか」につなげています。このように働く場合の「の」は埋め込み助詞と呼ばれます。「あなたはひろしが好きなのですか」という質問は、この包み込まれた名詞句である「あなたはひろしが好きだ」という命題が真か偽かを問うています。
「なぜあなたはひろしが好きなのですか」という文は「あなたはひろしが好きだ」というひとまとまりの命題に対して、「なぜ」とその理由を聞いていることになります。ですから、矛盾のない自然な文に聞こえます。
「なぜあなたはひろしが好きですか」の方はどうでしょう。「なぜ」がひとまとまりの命題を要求しているのに、後続の文が名詞句化されていません。「好きですか」という文末ですと、どうしても「あなたがひろしを好きかどうか」ということに焦点が当たってしまいます。ですから、不自然に聞こえてしまうのです。
(別の例文)
Taro: ひろし、あなたはどこへ行きたいですか? Where do you want to go, Hiroshi?
太郎がひろしとどこかへ遊びに行こうとしているとします。相手の希望を尋ねる場合、この聞き方でOKです。「どこへ」という疑問詞は埋め込まれた名詞句を要求しません。前提がないからです。二人がどこへ行くのか決まっているわけではないので、埋め込み助詞は必要ありません。しかし、次のような会話の後では話が違います。
Taro: 新宿はどうですか? --Hiroshi: いやです –Taro: 渋谷は? --Hiroshi: いやです –Taro: お台場は? --Hiroshi: いやです
Taro: じゃあ、どこへ行きたいのですか? Then where IS it that you want to go?
この最後の質問が良い例です。ひろしは太郎の誘いに対して三回も「いやです」と言いました。こうなると、太郎は、ひろしがどこか行きたいところがあるに違いないと考えたくなります。つまり前提が発生しています。この感覚を表現するために「のですか」が使われることになります。この質問への答えの方も、「実は、町田に行きたいのです」などと、埋め込み助詞が使われることになります。次の例文も同じ理由で最後の文に「の」が現れます。
私はひろしが嫌いです。彼は人の話を聞きません。その上、人のことを悪く言います。だから、私はひろしが嫌いなのです。 I dislike Hiroshi. Not only does he not listen to others, but he speaks ill of others as well. That’s why I dislike him.
最初に「私はひろしが嫌いなのです」と言うのはちょっと変です。でも、嫌いな理由を並べたてた後なら、「私はひろしが嫌いだ」という主張(命題)全体を再肯定する「のです」がぴったりです。
(練習問題)
(A)と(B)、どちらが自然な日本語ですか。
I heard you played tennis yesterday. With whom did you play?
(A) 昨日、テニスをしたそうですね。誰としたのですか?
(B) 昨日、テニスをしたそうですね。誰としましたか?
I heard you gave a present to Hiroko? Do you love her?
(A) ひろ子にプレゼントをあげたそうですね。 あなたはひろ子が好きですか?
(B) ひろ子にプレゼントをあげたそうですね。 あなたはひろ子が好きなのですか?
(言い換え)
埋め込み助詞「の」で名詞句化される事柄は、「ひと」や「もの」で置き換えることができます。
コップを割ったのは私です。
<(1)コップを割った><(2) の>< (3)は、私です>
<(2)The person who><(1) broke the glass><(3) was me>
コップを割ったひとは私です。
あなたが書いたのは漢字です。
<(1)あなたが書いた><(2) の>< (3)は、漢字です>
<(2)What><(1)you wrote><(3)is a kanji>
あなたが書いたものは漢字です。
(良くある間違い)
以下のような間違いに注意しましょう。
(A) 私が見つけたのは、めがねです。 (正) What I found was a pair of glasses.
(B) 私が見つけたものは、めがねです。 (正)
(C) 私が見つけたのものは、めがねです。 (誤)
日本語では述語動詞は終止形のまま(正確にいうと終止形と同形の連体形が)名詞を修飾することができます。つまり、「見つけた」という述語動詞は「もの」を直接修飾できますから、所有格化の助詞「の」は不要です。同様の間違いをもう一つ示します。
桜が咲いているのところに行きたい。 (誤) I want to visit a place where cherry blossoms are blooming.
桜が咲いているところに行きたい。 (正)
原文はこちら
http://meadowlake001.blogspot.jp/2014/09/wrapping-particle.html
全部の投稿が見られるサイトはこちらです。
http://tinyurl.com/p94ujhz

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